ブライダルチェックブライダル・チェックってご存知ですか?
婚約・結婚を機に、今後の結婚生活や妊娠・出産に支障をきたすような異常がないかどうかを調べる健康診断をブライダル・チェックと言います。 できれば、カップルそろって検査を受けられ、データーをお互いに交換するのが理想でしょう。
貧血や血液疾患がないかどうかを調べます。日本人の若い女性の約40%はすでに鉄欠乏の状態にあるといわれています。妊娠中は赤ちゃんの発育・造血に必要な鉄の需要が増すわけですから、さらに鉄欠乏に拍車がかかることになります。 〈対策〉 貧血があることがわかれば、食事指導やお薬(鉄剤)の投与をさせていただきます。 赤ちゃんに重症の黄疸を起こすような稀な血液型でないことを調べます。 さらに、不規則抗体検査によって、万が一輸血が必要となった事態に遭遇しても、問題なく輸血が受けられるかどうかについても、あらかじめ知っておくことができます。
風疹検査で抗体があった場合(32倍以上の陽性の場合) 〈対策〉 何もする必要はありません。すぐに妊娠しても大丈夫です。 風疹検査で抗体がないか低かった場合(陰性あるいは8倍・16倍の場合) 〈陰性または抵抗体価となる3つの理由〉
妊娠前に風疹ワクチンの接種を受けて下さい。厚生労働省は16倍までの低抗体価の場合は、風疹にかかる可能性があると注意を促しています。低抗体価の場合は、陰性の場合と同様に妊娠前にワクチン接種を受けることによって免疫能を活性化(ブースター効果)しておくことが望ましいでしょう。 また、陰性や低抗体価の場合、同居の家族の方も検査を受け、必要ならワクチン接種を受けることが厚生労働省により推奨されています。 生ワクチンである風疹ワクチンは、妊娠中に接種すべきではないため、通常妊娠の可能性のない月経期間中に行われ、接種後2〜3ヶ月の避妊期間をおくことになっています。したがって、このことからも結婚前後の家族計画を立てやすい時期に検査を受けて、必要ならワクチン接種を受けておくことが望ましいでしょう。 また、ワクチン接種を受けたからといって、全員が免疫能を獲得できるとはかぎらないため、接種後2〜3ヶ月目の再検査で十分な免疫ができたことを確かめてから妊娠するとよいでしょう。 本院でも風疹ワクチンの接種や検査を行っていますのでご相談下さい。 胎内感染により赤ちゃんに奇形(脳内石灰化・水頭症・肝臓や脾臓の腫大・網脈絡膜炎など)が出ないように調べます。 抗体がある場合の対策 妊娠中に初めて感染する(初感染)が問題となるのであって、検査の結果、抗体がある場合(陽性の場合)は何も心配いりません。 抗体がない場合の対策 抗体がない場合(陰性の場合)は猫の糞便の世話を避けたり、豚・牛・鶏の未調理の肉を食べないように注意しましょう。 クラミジア感染症は、最近若い人を中心に急増しています。年代別の女性におけるクラミジア陽性率は、10代:約25% 、20代:約14% 、30代:8% 、40代:7%(愛知医大の報告)となっています。 男性では尿道炎、女性では子宮頚管炎として発症しますが、感染初期にははっきりした自覚症状がないのが特徴です。それでも、男性の場合は、2〜3週間すると、排尿時に不快感や痛みを感じたり、膿性分泌物がペニスから出たりして、比較的にわかりやすいのですが、女性の場合は、自覚症状がないまま経過し、気がつかないうちに病状が進行したり、パートナーに感染したりすることがありますから、特に注意が必要です。 クラミジア感染症をそのまま放置しておくと、子宮から卵管を通って腹腔内に拡がり、激しい下腹部痛(骨盤腹膜炎)を起こしたり、卵管が詰まって不妊症の原因になったり、妊娠しても子宮外妊娠になってしまったりすることがあります。 妊娠してからは、稀に流産や早産の原因となったり、お産の時に赤ちゃんが感染(産道感染)して、結膜炎や肺炎を発症したりします。 検査には、血液検査により抗体(IgA 抗体・IgG 抗体)を証明する方法と、子宮頚管を擦過して局所におけるクラミジア抗原やDNAの存在を証明する方法があります。 クラミジア検査が陰性であった場合 〈対策〉 何もする必要はありません。すぐに妊娠しても大丈夫です。 クラミジア検査が陽性であった場合 〈対策〉 お薬(抗生物質)を服用するだけで、簡単に治療することができます。パートナー同士での再感染(ピンポンのように行ったり来たりすることからピンポン感染といいます)を防ぐために、お二人同時の治療が望まれます。 幸い現状では比較的稀な感染症ですが、パートナーや赤ちゃんへの感染を防ぐために、感染していないことをチェックしておくことが望まれます。陽性であれば、もちろん治療の対象となります。 肝炎ウイルスには、A型・B型・C型・D型・E型・G型などがありますが、特に問題となるのは、B型とC型です。 B型肝炎ウイルス 検査で陽性反応が出た場合は、性交渉での感染を防ぐために、パートナーへのワクチン接種が望まれます。なお、このワクチンは妊娠中も使用可能とされています。 女性が陽性の場合は、さらに詳しいウイルス検査を行い、赤ちゃんへの感染率を下げるための努力が必要となります。 C型肝炎ウイルス B型肝炎ウイルスと同様に血液・体液を介して感染しますが、感染力は弱いとされています。ただし、感染者では、高率に慢性肝炎に移行し、初感染から平均20年後に肝硬変へ、30年後には肝癌へと進展してしまいます。 女性が陽性の場合は、さらに詳しいウイルス検査を行い、赤ちゃんへの感染力がどの程度かを判断しておく必要があります。 B型肝炎ウイルスと違って残念ながらワクチンはありません。活動性のC型肝炎の場合はインターフェロンα・βという特殊なお薬が使用されます。 黒潮が打ち上げる西日本・太平洋側を中心に時々認められるウイルスです。ウイルスが発見されたからといって、すぐに白血病を発症するわけではなく、高齢(40〜50歳以上)になってからウイルス感染者の2000人当たり年間1人の割で発症するとされ、稀な疾患といえます。ただし、ウイルス感染者が生涯を通して白血病になる確率は1/20〜1/40であり、無視することはできないでしょう。 献血によるチェックがなされている現在では、感染経路は2つに絞られています。1つは性交渉によって男性から女性への感染であり、もう1つは母乳を介してのお母さんから赤ちゃんへの感染です。 このウイルスはリンパ球を介して感染する特徴があり、精液中に感染リンパ球が混入することにより、男性から女性へ性交渉により感染し、逆に女性から男性への感染はないとされています。感染率は性交渉2年間で約20%、最終的には70〜80%の女性が感染するといわれています。ただし、感染から発症まで40〜50年がかかるため、性交渉で感染が成立したとしても、一生のうちで白血病を発症することはほとんどないとされています。 問題は赤ちゃんへの感染です。お母さんが感染していると、感染リンパ球が母乳中に混入し、お乳を飲んだ赤ちゃんが感染してしまい、母から子へと家系的にこのウイルス感染が伝わってしまうことになります。ウイルス感染がある場合は、粉ミルクや凍結母乳(凍結・融解によってリンパ球を破壊)によって赤ちゃんを育てることによって、感染率を下げることができますが、それでも4〜6%の頻度で感染が成立してしまうとされています。 ブライダル・チェックによって陽性反応が出た場合は、家系的に感染が伝搬することを避けるための配慮をあらかじめすることができます。 従来、子宮癌検診は30歳以上の女性が対象とされてきましたが、2004年から厚生労働省は20歳以上に対象年齢を下げ、2年に1回の受診を勧めています。この対象拡大の理由としては、50歳以上の中高年層では子宮頚癌の罹患率が着実に低下しているのに対し、 したがって、ブライダル・チェックの目的で産婦人科を受診した際には子宮癌検診も進んで受け、異常がないことを確かめるとともに、今後とも定期検診を受け続ける“習慣づけ”を開始することが大切でしょう。 なお、検診回数については、厚生労働省は2年に1回としていますが、偶発的に起こりうる疑陰性(見落とし)が数パーセントあることを考慮すると、できれば年1回の検診が望ましいでしょう。もちろん、細胞診の結果に問題があった場合は、検診間隔は2〜3ヶ月に短縮されることになります。 腟分泌物の1滴をスライドガラスに載せ、顕微鏡で観察することによって、カンジダやトリコモナスなどの病原体の有無を検討することができます。また、培養検査で病原性のある細菌の有無(細菌性腟炎の有無)を知ることもできます。 子宮頚管のぬぐい液を用いて、遺伝子検査(PCR 法)を追加することもあります。この検査では、淋病・クラミジア・単純ヘルペス・軟性下疳・コンジロームなどの性行為感染症のチェックやガルドネレラ・マイコプラズマ・ウレアプラズマなどの細菌性腟症の原因菌がいないかどうかのチェックができます。 子宮頚管(子宮の入り口)を細い綿棒でこするだけの検査ですから、痛みを伴うことはありません。 淋病は、男性では痛みを伴うペニスからの膿性分泌物として発症しますが、女性では子宮の入り口である頚管の炎症(子宮頚管炎)が起こり“膿(ウミ)のようなおりもの”が増加します。ただし、女性の場合は、淋病にかかってもむしろ無症状のことの方が多く、無治療で放置されると子宮内膜炎・卵管炎・骨盤腹膜炎へと感染が進展してしまいます。そして将来、不妊症や子宮外妊娠の原因となることがあります。 妊婦さんにおける淋病の感染率は0.1%程度とされていますが、稀に流産や早産の原因となったり、赤ちゃんの発育障害をきたしたり、生まれてからは赤ちゃんに結膜炎を起こしたりします。 したがって、検査が陽性の場合は、お薬(抗生物質)によって治療することになります。 経腟プローブ(下の写真)という細長い超音波検査器具を腟内に挿入して、卵巣や子宮などに異常がないかどうかを調べます。この経腟エコー検査は、おなかの上から見る腹部エコー検査に比べて得られる情報量がはるかに多く、産婦人科の診療には不可欠な検査となっています。挿入する器具は親指ほどの太さですから、検査に痛みを伴うことはありません。 この検査によって、卵巣に腫瘍がないかどうか、子宮内膜症によるチョコレート嚢胞などがないかどうか、不妊症の原因となる病状(多嚢胞性卵巣など)がないかどうかなどを調べます。ことに、卵巣腫瘍は新生児からお年寄りまでのあらゆる年齢に発症し、たとえ悪性であっても症状をきたすことが少なく“沈黙の臓器”と呼ばれているだけに、『定期検 診には子宮癌検診だけでなく卵巣癌検診も含むべき』と言えるでしょう。 また、超音波エコー検査では、子宮に子宮筋腫や子宮腺筋症がないかどうか、生まれつきの異常(子宮奇形)がないかどうかも調べることができ、今後の妊娠・分娩に支障をきたす要因がないかどうかが判定されます。 ![]()
(必要と考えられる時にのみ行います)
糖尿病の可能性のある人では、病状を正確に診断して、血糖をコントロールする必要があります。糖尿病であることを知らずに、治療を受けることなく妊娠してしまうと、高率で胎児奇形が発生します。
甲状腺機能低下症は不妊症の原因となります。甲状腺機能亢進症がある場合は、不妊症になることはありませんが、妊娠してからの病状コントロールが難しい場合があります。いずれにしろ、治療の対象となります。
葉酸はビタミンB群に属し、ブロッコリー・ほうれん草・グリーンアスパラガス・ゼンマイなどの野菜に比較的多く含まれています。妊娠初期に葉酸欠乏があると、神経管形成障害により、無脳症・外脳症・二分頭蓋・脳室ヘルニア・二分脊椎などの奇形が増えることが知られているため、 厚生労働省は『妊娠を予定している女性は、その1ヶ月位前から食事に加えて、栄養補助食品として1日この勧告にしたがって、生活指導をさせていただきます。 検査項目および指導内容
*一般血液検査(貧血) *血液型 *不規則抗体 *感染症検査
癌検診 *細胞診 分泌物検査 *顕微鏡検査 *一般細菌検査 *遺伝子検査(淋病・クラミジア・ガルドネラなど) その他 *糖尿病検査(糖負荷テスト) *甲状腺機能検査 生活指導 *葉酸の服用指導 *それぞれの患者さんに応じた指導(喫煙・飲酒など)
|
||||||||||||||||