産後の出来事毎日が新たな驚きと歓びの連続でしょうが、わからない事や落ち込んでしまう事もあるかもしれません。お困りの事があれば、いつでも連絡して下さい。あなたと山本産婦人科のホットラインはずっと繋がっています。 産褥とは、お産が終わってからお母さんの身体が妊娠前の状態に戻るまでの期間をいい、およそ6〜8週かかります。この間に起こる出来事について表にまとめるとともに、生活指導やマイナートラブルに対する対処法についてもご説明いたします。 1.産後の経過
バスタブにつかる入浴については、いつまでダメでいつからよいという規定はありません。悪露さえ少なくなれば可能ですが、あくまでも清潔な最初のお湯であるべきでしょう。 レジオネラ菌感染症について
産後に性行為をもってもよいのは、一般的に悪露が黄色〜白色になり、お産でできた傷が治る5〜6週間後とされています。ただし、画一的に考える必要はなく、意欲があれば少し早く性行為をもってもよいでしょう。ちなみに、ある研究者の統計では、産後の初回性行為までの期間は平均55日であったとのことです。 家族計画を考えている人は、避妊もお忘れなく。 次の出産をいつ頃にするかを夫婦でよく相談しておきましょう。家族計画に沿って避妊をしないと、産後の月経をみないまま、次の妊娠に至ってしまう場合があります。産後の排卵(つまり妊娠の可能性)には個人差がありますから、注意が必要でしょう。 避妊方法にはいろんな種類があり、それぞれ長所と短所がありますから、外来で指導を受け、自分にあった方法を選択するようにしましょう。 今回の妊娠時の検査で、風疹の免疫抗体がなかったり低抗体価であった人は、この避妊期間を有効に使って風疹ワクチンの接種を受けましょう。 風疹ワクチンは生ワクチンのため、妊娠中には接種することができません。妊娠の可能性のない産褥期や月経期間中に接種され、2〜3ヶ月の避妊が指導されます。本院でも接種していますが、予約制となっていますから、ご希望の場合はあらかじめ連絡を取って下さい。 産褥期には、目のかすみを訴えたり、育児疲れや睡眠不足などが重なるため、注意が散漫になりがちです。“いつからハンドルを握っていいか”についての規定はありませんが、自分の体調を十分考えて無理をしないようにして下さい。 もうあなた1人の体ではありません。かわいい赤ちゃんと愛するご主人がいるのですから。 妊娠中の禁煙に成功した人は、引き続き禁煙を守りましょう。妊娠中の喫煙の影響についてはすでにお勉強しましたが、お産後も問題が一杯です。なかでも大切な赤ちゃんが急死してしまう乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが4〜5倍になるとされています。 母性に目覚めて、“喫煙は百害あって一利なし”と悟りましょう。 はじめ赤色であった悪露は、日にちが経つにつれて褐色から黄色・白色へと変わっていきます。この悪露の変化には個人差があって、かなり早く白色になる人もいれば、1ヶ月健診の時にまだ赤みの残っている人もいます。流れるような出血であるとか、血の塊が出ない限り、心配せずに経過をみて下さい。
退院後数日〜数週間経って多量の子宮出血をきたすことがあります。これは、子宮の胎盤付着面にできた血栓が溶けることによって起こる出血で、速やかに治療を開始する必要があります。太ももを伝って流れる出血や、血の塊がたくさん出る場合はすぐ連絡して下さい。もっとも極めて稀で、1〜2年に1人の方に起こる程度です。
抗生物質がなかった昔では、産後の発熱は“産褥熱”として恐れられていましたが、現在では重症化する産褥性器感染症は比較的稀となっています。
風邪症状がなく、お乳に問題がないのに、40℃近くの発熱を認めた場合は、腎盂腎炎を疑わなければなりません。背中の腎臓のあたりを叩くと痛みがあることを特徴としていますが、治療が必要ですから直ちに来院して下さい。 風邪症状がなく、乳腺炎でも腎盂腎炎でもない場合は、産褥子宮内膜炎を疑う必要があります。通常、下腹痛があり、汚い悪露が出ます。清潔操作が徹底している現在では少ない病気となってきていますが、症状があれば来院して下さい。 母乳に水分が取られるため、便が硬くなり便秘になりやすいので、水分を十分摂りましょう。よくならなければ、お薬をさし上げますから、外来を受診して下さい。 痔は、便通を整え入浴(座浴)をすることによって、お産後2〜3ヶ月で自然によくなりますから、あまり心配しないで下さい。苦痛を伴う場合は、お薬をさし上げますから、外来を受診して下さい。 子宮を支えている靱帯などの組織が弛んだために、歩行時などに“股の間に何かを挟んだような違和感”を受けることがあります。子宮が下がったための症状ですが、数ヶ月で軽快しますから、心配しないようにして下さい。排尿をがまんしたりせず、便秘にならないように注意し、中腰で重いものを持ち上げるような動作も避けましょう 座った時や排便の時に肛門のうしろに痛みを訴えることがあります。とくに赤ちゃんが大きかった時に起こりやすいのですが、尾骨の関節が過度の圧迫を受けたためです。 日にちが経てば自然に改善しますから様子をみて下さい。 陰毛の部分に硬く触れる骨(恥骨結合)が歩くたびに痛んだり、押さえると痛んだりすることがあります。通常は安静を保つことで、数日で改善しますが、重症(恥骨結合離解)の場合は、整形外科の専門的治療(特殊なコルセットの着用や牽引・牽垂など)が必要となります。 産褥期には生理的に女性ホルモンが低下し、腟が萎縮状態になります。また、増加した射乳ホルモン(プロラクチン)が性腺機能を抑制し、性欲を減退させます。それに加えて陰部の傷の痛み・産後の疲労・育児疲れ、睡眠不足などが重なると性交にたいする意欲がさらに低下し、努めて交渉を持とうとしても痛みを訴えることになります。 ご主人の理解を求めるとともに、症状が強い場合は外来を受診して下さい。 お産の時に赤ちゃんの頭で膀胱や神経が過度に伸展を受けたことと、産褥期に女性ホルモンが生理的に低下するために起こります。しだいに卵巣の機能が戻ってくるにつれて症状は改善しますから様子をみて下さい。 バスタブから出た時に、腟からお湯が流れ出ることがあります。お産の影響が腟口に残っていることと、やはり産褥期の女性ホルモンの低下が関係しています。これも卵巣の機能が戻り、お産の影響がしだいになくなるにつれて改善しますから様子をみて下さい。 妊娠中にできた妊娠線は、しだいに赤みが薄れ白くなってきます。ただし、残念ながら消えることはありません。“女の勲章”と思ってあきらめて下さい。次回妊娠時には、体重増加に気をつけて、今回の白いひび割れの上に新しい赤いひび割れを作らないよう頑張りましょう。 大きな赤ちゃんが入っていたお腹の皮ですから、“たるみ”は誰でもあります。しだいに改善してきますが、産褥体操などの運動を積極的に取り入れて、シェイプアップをはかって下さい。授乳期はとかく空腹感が出ますが、間食に気をつけないと、そのまま脂肪のたるみにならないともかぎりません。気をつけましょう。 お産の後は一時的に目のかすみをきたすことがあります。自然に改善しますが、テレビの見過ぎや、細かい文字を読むようなことを避け、時々遠くの山々を眺めるような習慣をつけるとよいでしょう。 退院時に予約票をお渡しいたします。診察カードと母子手帳をご持参下さい。 |
|||||||||||||