生理の異常・性器出血
生理の異常には、
(1)発来時期(初経)の異常
(2)周期の異常
(3)持続日数の異常
(4)月経量の異常
(5)月経に伴う不快症状(痛み、月経前の精神的・身体的症状) |
などがありますが、本題に入る前に女性特有の生理的変化について理解しておきましょう。
まず、成熟女性におけるホルモン調節のしくみについて“おさらい”をしましょう。若干、複雑に感じるかもしれませんが、難しくはありませんから、頑張ってついてきて下さい!
視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌
今、世間では“ペプチドを含んだ飲料”がもてはやされていますが、
脳の底部に位置する視床下部からは、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH:Gonadotropin-releasing hormone)と呼ばれるペプチドが分泌されています。このペプチド・ホルモンは、10個のアミノ酸が連なっただけの、非常に簡単な構造をしていますが、女性のホルモン環境を正常に保つ意味において重要な役割を演じています。GnRHは、簡単な構造だけに代謝も早く、2〜4分で半量に分解される(半減期:2〜4分)ため、女性が正常な生殖機能を維持するためには、常に産生・分泌を繰り返されなければなりません。
ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の構造
このGnRHは脳下垂体の前葉に働いて、
卵胞刺激ホルモン(FSH:
Follicle Stimulating
Hormone)と、
黄体化ホルモン(LH:Luteinizing Hormone)の分泌を促進します。
(武谷雄二監修:Clinical Color Guide:Hoechstより)
卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌とフィードバック
卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)は、GnRHの刺激により分泌されますが、GnRHと違って分子量の大きな蛋白質でできています。
FSHは、卵巣にある発育卵胞を刺激して、排卵に至る主席卵胞(Leading Follicle)を育て上げますが、同時に卵胞の内面に存在する顆粒膜細胞からエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌を促します。
高濃度となったエストロゲンは視床下部に働いてGnRHの分泌をさらに促します(これをポジティブ・フィードバックと言います)。
GnRHの分泌亢進により、脳下垂体・前葉からLHの急激な大量放出(LHサージと言います)が起こり、その16〜24時間後に排卵が誘発されます。
排卵後は卵巣の顆粒膜細胞と内莢膜細胞から黄体が形成され、LHの作用によりプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されます。プロゲステロンは体温調節中枢に働いて基礎体温を上昇させ、高温相が形成されます。
女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)と子宮内膜の周期的変化
月経により脱落した子宮内膜は、エストロゲンの作用を受けて増殖と分化を開始しますが、排卵後に分泌されるプロゲステロンの作用が加わると、さらに肥厚し分泌期と呼ばれる妊娠(着床)準備状態が整います。
妊娠が成立しないと、黄体はしだいに退縮し、エストロゲン・プロゲステロンは減少し、これらのホルモンに依存性である子宮内膜は脱落し、月経(消退出血)が引き起こされます。
このように、子宮内膜は卵巣から分泌される女性ホルモンの作用を受けて、初経から閉経まで絶え間なく増殖・分化・脱落を繰り返す特徴を持っています。
(武谷雄二監修:Clinical Color Guide:Hoechstより)
これが、成熟女性の身体の中で起こっている一連の変化なのですが、難しく考えずに、まずは『
正常な女性では、視床下部と呼ばれる脳の一部と脳下垂体と卵巣がそれぞれ密接に関連を持っていて、周期的に変化することによって性機能が調節されているのだなぁ〜』と理解して下さい。
次に、月経が正常なのか異常なのかを区別するため、産科婦人科学会が取り決めている用語と定義について説明したいと思います。初経年齢は10〜14歳、正常性成熟期の女性の月経周期は25〜38日、月経の持続は3〜7日とされています。月経異常については、発来時期の異常・周期の異常・持続日数の異常・月経量の異常・月経随伴症状の異常などがありますが、下表のまとめをご参照ください。
| 正常月経 |
| 初経発来 |
10〜14歳 |
| 月経周期日数 |
25〜38日 |
| 月経持続日数 |
3〜7日 |
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| 生理的無月経 |
| 初経以前、閉経以後、妊娠、産褥・授乳期の無月経 |
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| 月経異常 |
| 早発月経 |
10歳未満での初経発来 |
| 遅発月経 |
15歳以上での初経発来 |
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| 無月経 |
| 原発性無月経 |
18歳になっても初経発来のないもの |
| 続発性無月経 |
これまであった月経が3ヶ月以上停止したもの
ただし、生理的無月経を除く |
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| 稀発月経 |
月経周期39日〜3ヶ月未満のもの |
| 頻発月経 |
月経周期24日以内のもの |
| 不整周期 |
月経周期は25〜38日の範囲内であるが
不規則なもの |
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| 過短月経 |
出血期間が2日以内のもの |
| 過長月経 |
出血期間が8日以上のもの |
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| 過少月経 |
月経血量が異常に少ないもの |
| 過多月経 |
月経血量が異常に多いもの |
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| 早発閉経 |
43歳未満で閉経するもの |
| 遅発閉経 |
55歳以降で閉経するもの |
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| 月経困難症 |
月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状 |
| 月経前緊張症 |
月経開始3〜10日位前から始まる精神的・身体的症状で月経開始とともに減退・消失するもの |
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| (日本産科婦人科学会、1992) |

日本産科婦人科学会では、正常の思春期は8〜9歳頃より17〜18歳頃と定義されていますが、初経はこの期間に身長の急速な伸び、乳房発育、恥毛発生に続いて起こり、通常10〜14歳に認められます。
思春期がどのようにして発来するかというしくみについては、2つの機序が考えられています。1つは、幼少期には性ステロイドホルモンによって視床下部が機能抑制(ネガティブ・フィードバックといいます)を受けて休眠状態にありますが、年齢とともに、この視床下部の性ステロイドホルモンに対する感受性が低下して、丁度タガがはずれるようにGnRHの分泌が亢進し、脳下垂体・卵巣の機能が目覚めることにあるとされています。もう1つは、性ステロイドホルモンとは関係なく、一定の年齢に至るまで視床下部がGnRHを分泌しないようにセットされた抑制機構が中枢神経系自体にあり、この抑制機構がオフとなることにより、思春期発来へのスイッチがオンになるとされています。
視床下部・脳下垂体が早期に活発化して、脳下垂体からのFSH・LH分泌が亢進する場合(中枢性)と、卵巣や副腎からの性ステロイド分泌が増加する場合(性腺または副腎性)とがあります。多くはホルモン産生性の卵巣腫瘍などが考えられますので、産婦人科で精密検査を受けて下さい。なお、早発月経(思春期早発症)では、発症当初には急速に身長が伸びますが、エストロゲンが骨端線の早期癒合を引き起こし、最終的には低身長に陥ることも問題となります。
遅発月経の原因としては、家系的であったり、クラブ活動などで過度の運動をしたり、精神的ストレスが強かったり、栄養状態が悪かったりといったことが考えられます。身長の伸び・乳房の発育・恥毛の発生などいわゆる第2次性徴がみられて、産婦人科の診察でも卵巣・子宮などに異常が見い出されなければ、まずは心配ないでしょう。ほとんどの場合、18歳までには初経が認められるようになるでしょう。
第2次性徴がなく、満18歳になっても初経をみない場合は、注意が必要です。ターナー症候群や精巣女性化症候群のような染色体異常の頻度も高く、産婦人科を受診して、精密検査を受けて下さい。

妊娠で生理が遅れている場合は、『妊娠ってどうしたらわかるの?』を参照して下さい。
今まであった生理が3ヶ月以上ない場合を続発性無月経と呼びますが、比較的多くの方が経験する病態なので、少し詳しく説明したいと思います。
女性ホルモンの分泌異常により、本来あるべき子宮内膜の周期的変化が障害を受けて、生理が来ない場合を無月経と呼びます。無月経であれば、当然排卵も障害され、無排卵症の状態が推定されます。
『成熟女性におけるホルモン動態』で“おさらい”したように、(1)視床下部、(2)脳下垂体、(3)卵巣のいずれかの機能的異常が原因と考えられます。また、それ以外に(4)内分泌・代謝性疾患や子宮自体の病変によっても稀に起こることもあります。
視床下部性無月経
視床下部性無月経は、GnRHの分泌障害による無月経と理解して下さい。
生活環境の変化(就職・転居など)にうまく順応できなかったり、対人関係でストレスがたまったり、過度のダイエットをしたり、過度のスポーツをしたりすると、視床下部が影響を受けて、GnRHの分泌障害により無月経となります。また、若い女性にみられる神経性食思不振症も同様に視床下部性無月経の原因となります。
脳下垂体性無月経
脳下垂体性無月経には2つのタイプが考えられます。1つは脳下垂体前葉のFSH・LH産生細胞の機能障害であり、当然FSH・LHの分泌低下が起こるわけですから、無月経となります。もう1つは、プロラクチノーマと呼ばれるプロラクチン産生腫瘍が脳下垂体前葉にできた場合で、過剰産生されたプロラクチンというホルモンが卵巣機能を障害して無月経となります。
卵巣性無月経
エストロゲン・プロゲステロンを産生する卵巣自体に機能低下があれば、当然無月経となります。これを“卵巣機能不全”と呼ぶわけですが、閉経はまさにこの卵巣機能不全の典型と言えるでしょう。
その他の内分泌・代謝性疾患などによる無月経
副腎機能障害(副腎性器症候群・クッシング症候群・アジソン病など)や甲状腺機能障害(とくに甲状腺機能低下症:粘液水腫)では無月経となります。また、最近では少なくなっていますが、人工妊娠中絶を繰り返すことにより子宮内膜が癒着してしまうと、正常な子宮内膜の増殖面積が減少するため無月経となります。これをアッシャーマン症候群と呼びます。
初経が来ない原発性無月経は稀ですが、今まで来ていた生理が遅れる続発性無月経はめずらしくなく、比較的多くの女性が経験しています。特に生活環境の変化などによるストレスが原因で起こることが多く、一時的であれば心配はいらないでしょう。
血液中のホルモン測定
LH、FSH、プロラクチン、エストラジオール(エストロゲン)、プロゲステロン、テストステロンなどを測定します。また、必要に応じて副腎ステロイドホルモンや甲状腺ホルモンを測定することもあります。なお、プロラクチンは日内変動といって、一日のうちで夜間に高く、昼間に低い特徴があるので、通常、測定は9〜11AM頃に行われます。
超音波検査
卵巣の大きさや卵胞数を観察したり、子宮内膜の厚さを測定します。卵巣が年齢の割に小さければ萎縮性変化が考えられますし、多数の卵胞があれば、
多嚢胞性卵巣症候群
(PCOS)が疑われます。また、ある程度の厚さの子宮内膜が認められれば、少なくともエストロゲンの基礎分泌は保たれている(第1度無月経:後で説明します)と判断されます。
プロゲステロン・テスト
無月経は、程度の差により第1度無月経と第2度無月経に分けられます。第1度無月経では、女性ホルモンのうちエストロゲンの基礎分泌は維持されているが、プロゲステロンの分泌が障害されている場合であり、第2度無月経はエストロゲン分泌もプロゲステロン分泌も共に障害されている場合を指します。つまり、第1度無月経の方が、第2度無月経よりも軽症であり、外からプロゲステロンを補ってやれば、ほぼ正常のホルモン環境が整い、月経が再開されるわけです。
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エストロゲン分泌 |
プロゲステロン分泌 |
| 第1度無月経 |
OK |
↓ |
| 第2度無月経 |
↓ |
↓ |
プロゲステロン・テストでは、プロゲステロン製剤の筋肉注射を行います。“テスト”と名前が付いていますが、診断と治療を兼ねたものと理解していただければよいでしょう。つまり、この注射により、1〜2週間以内に月経の再来を認めれば、第1度無月経と診断され、同時に測定したホルモン測定値に問題がなければ、投薬等の治療は必要なく、経過観察でよいことになります。この注射で月経が再来しなければ、第2度無月経と診断され、さらに詳しい検査と治療が必要となります。
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油性のホルモン剤の筋肉注射について |
| プロゲステロンのようなステロイドホルモンは水に溶けない特徴があるため、製剤は油性となっています。油性の注射液は注射部位に“しこり”として残りやすいので、注射を受けた場合は、十分注射部位を揉むことが大切です。 |

下の表のような手順で診断が進められ、治療方針が立てられます。
 |
まず、プロラクチンが正常の場合(≦15ng/ml)と高値(高プロラクチン血症)の場合(>15ng/ml)に分かれます。 |
プロラクチンが高値の場合は、授乳中でないか、プロラクチン分泌を促進する薬剤を服用していないかなどをお聞きします。高プロラクチン血症を引き起こす薬剤には、
向精神薬・
胃腸薬・
降圧剤(下表)などがありますが、服薬が認められれば、可能であれば休薬や減量をしていただきます。
高プロラクチン血症を起こす薬剤
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T.スルピリド(Sulpiride,錠・注)
精神神経用剤・消化性潰瘍剤
ドグマチール(藤沢)
アビリット(住友化学)
ミラドール(三井製薬)
U.メトクロプラミド(Metoclopramide,錠・注)
制吐剤・消化器機能異常
プリンペラン(藤沢)
ブロメチン(山之内)
テルペラン(帝国臓器)など
V.メチルドパ(Methyldopa,錠)
血圧降下剤
アルドメット(万有)
ポリナール(山之内)
ドメシン(三共)
W.イミプラミン(Imipramine,錠・注)
抗うつ剤
トフラニール(藤沢、チバガイギー)
イミドール(吉富)など
X.アミトリプチリン(Amitriptyline,錠・注)
抗うつ剤
トリプタノール(万有)
ラントロン(山之内)
アデプレス(塩野義)など
────────────────────────
(日母研修ノートNo31より) |
これらの薬剤の服薬がなければ、甲状腺機能検査を行い、甲状腺機能低下症が見つかれば、甲状腺剤により治療を開始します。血中プロラクチン値が100ng/ml以上の場合はプロラクチノーマ(下垂体腺腫)を疑い、頭部のX腺単純撮影・CT・MRIなどが必要になります。見いだされた病変が小さければ、さしあたって薬剤療法が、大きければ脳神経外科的療法が選択されます。
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プロラクチンは間脳からのドーパミンという神経伝達物質により常に抑制的な制御を受けています。向精神薬・胃腸薬・降圧剤などが高プロラクチン血症を引き起こすのは、これらの薬剤が抗ドーパミン作用を持っていて、ドーパミンの抑制作用を無効にし、堰を切ったようにプロラクチンの分泌を高めるからです。
ホルモンの分泌調節って複雑なように感じるかもしれませんが、理ずくめで理解できるおもしろい分野でもあるのですよ。 |
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次に、プロラクチンが正常(≦15ng/ml)で、プロゲステロン・テストが陽性の場合と陰性の場合に分かれます。
プロゲステロン・テストが陽性、つまりプロゲステロンの筋肉注射で月経(消退出血)を認めた場合は、第1度無月経であり、妊娠を希望しない限りにおいて、特別な治療なしに経過観察でよいと思われます。 |
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プロゲステロン・テストが陰性、つまり月経(消退出血)を認めない場合は、次にエストロゲン/プロゲステロン・テストを行います。この検査では、通常エストロゲンとプロゲステロンの合剤を10日〜14日間服用していただきます。
服用終了数日後に月経(消退出血)を認めれば第2度無月経と判断され、月経がなければ子宮性無月経(アッシャーマン症候群)と判断されます。つまり、外からエストロゲンとプロゲステロンを補うわけですから、子宮があって子宮内膜が増殖・分化できる下地があれば、たとえどんな年齢であっても(極端な例を挙げれば、思春期前でも閉経後でも)必ず月経(消退出血)が来るはずというわけです。
ですから、もしこの試験で月経が発来しなければ、子宮内膜が増殖・分化できないような病変、つまり子宮腔内に癒着があるアッシャーマン症候群と判断されるわけです。
アッシャーマン症候群であれば、子宮卵管造影により癒着の程度を検討し、麻酔下で子宮腔内を拡張後、IUD(リング)を装着して、子宮内膜の修復を待つことになります。 |
 |
第2度無月経とわかったら、次に原因がどこにあるかをGnRH負荷試験で検討します。本来視床下部から分泌されているGnRHを外から負荷投与(刺激)して、中枢性か、多嚢胞性卵巣症候群か、卵巣性かを判断するわけです。反応性が低い場合は中枢性、FSHとLHの反応に解離があれば多嚢胞性卵巣症候群、両方とも高値であれば卵巣性と判断されます。
ただし、GnRH負荷試験を行うまでもなく、FSH・LHの基礎値だけでもある程度の判断は可能です。つまり、FSHもLHもすでに高値を示していれば、卵巣の機能低下がベースにあって、脳下垂体が卵巣を叱咤激励するため、FSH・LHを多量分泌している状態と判断されます。また、多嚢胞性卵巣症候群は、LHのみ高値でLH/FSH比>1を示し、超音波検査で多数の卵胞の嚢胞状変化を認めることから判断されます。中枢性の場合は、FSH・LHはともに低下〜正常で、LH/FSH比<1から判断されます。 |
卵巣性の場合は、一番やっかいで早発閉経や卵巣のFSH・LHに対する受容体に異常のあるゴナドトロピン不応性卵巣が考えられます。低エストロゲン状態が長くつづくと、ちょうど閉経をむかえたような状態ですから、骨密度が低下したり、高脂血症になったりする可能性があるため、骨量を測定し、血中脂質(総コレステロール・トリグリセライド・HDL・LDLなど)を測定する必要もあります。治療としては、カウフマン療法といって、エストロゲン製剤を3週間服用し、後半でプロゲステロン製剤も併用することによって自然に近い女性ホルモン環境を人為的に作る治療を行います。排卵を誘発することは難しく、妊娠をご希望の場合は、残念な結果となることが多いと言わざるをえません。
多嚢胞性卵巣症候群の場合は、テストステロン(男性ホルモン)やDHEA−S(副腎ホルモン)が高値を示し、プロラクチンも高値となることがあります。肥満や場合によっては多毛もみられ、糖尿病のスクリーニングも必要になることがあります。
経口の排卵誘発剤に対しては反応性が低く、注射の排卵誘発剤(FSH)の種類によっては、
卵巣過剰刺激症候群
と呼ばれる卵巣の腫れや腹水の貯留を来すこともあります。
中枢性の場合は、視床下部や脳下垂体の機能異常であり、ストレスや神経性食思不振症などによる体重減少性無月経も含まれます。心療内科と協力してカウンセリングを行ったり、生活環境の改善を図ったりすることが必要になります。
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医学用語ってなんでこんなに複雑なの! |
| 確かに複雑ですよネ。無月経・乳汁漏出症のうち分娩後に引き続いて起こるものをキアリ-フロンメル(Chiari-Frommel)症候群、下垂体腫瘍に伴う場合をフォーブス-オルブライト(Forbes-Albright)症候群、いずれにも属さない場合をアルゴンツ-デルカスティロ(Argonz-del Castillo)症候群、子宮腔内に癒着があって月経が来ないのがアッシャーマン(Asherman)症候群-----------これだけ並べただけでもうんざりしませんか!?国家試験の前にすべて覚えなければならない医学生に同情して下さい!まさに“うんざり症候群”じゃないでしょうか! |

いわゆる稀発月経(月経周期が39日〜3ヶ月未満のもの)です。妊娠を希望していないのであれば、深刻にならずに“生理のわずらわしさが少なくてよい”というくらいに気楽に考えて下さい。ただし、過度のダイエットやスポーツが引き金となっていたり、対人関係のストレスがたまっていたり、就職・転居など生活環境の激変が契機となっている場合は、そのまま続発性無月経(3ヶ月以上の無月経)に移行してしまう可能性があるので、生活習慣や環境整備には配慮が必要でしょう。
妊娠を希望しているのであれば、無排卵でなかったとしても、少なくとも年間の排卵回数は減少(稀発排卵)しているわけですから、産婦人科を受診して治療を受けた方がよいでしょう。
いわゆる頻発月経(月経周期が24日以内のもの)です。基礎体温が2相性(低温相と高温相がある)で排卵があると考えられ、貧血もないのであれば心配する必要はないでしょう。ただし、生理用ナプキンから解放される期間が短く、ナプキンかぶれに悩まされたりしてわずらわしい場合は産婦人科を受診して下さい。服薬により月経周期をコントロールすることは可能です。
まず、排卵期出血が考えられます。排卵から次回月経初日までの期間(基礎体温をつけていれば高温相)は約2週間と比較的変動が少ないので、出血の時期が予定月経初日の約2週間前頃に当たるのであれば、まず排卵期出血と考えてよいでしょう。
排卵期出血は、『成熟女性におけるホルモン動態』の所で“おさらい”したように、エストロゲンの分泌が2つのピーク(排卵前と排卵後の黄体期)を形成していて、第1のピークから下降に移行する時期に排卵が起こるため、このエストロゲン濃度の下降が引き金となって起こると考えられています。出血は少量で、持続期間も1〜3日程度のことが多く、決して稀な現象ではありません。ダラダラ出血が持続しない限りは様子を見てもよいでしょう。
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卵巣出血について |
排卵時期の自覚症状としては、1)頚管粘液の増加に伴ってドロッとした“おりもの”がふえる、2)基礎体温を測定している人では、低温相から高温相に転じる、3)人によっては、排卵痛があるなどがあります。
排卵痛については、敏感な人では、先月は左、今月は右といったように、左右の卵巣のどちらから排卵しているかということまでわかる場合もあります。通常の排卵痛であれば心配いりませんが、おなかをかかえるような苦悶状の痛みを感じる時は産婦人科を受診して下さい。卵巣出血といって、大量の腹腔内出血のために起こる腹膜刺激症状である可能性があります。
成熟した主席卵胞の壁が、タンパク分解酵素の作用を受けて破れ、卵丘細胞に囲まれた状態で卵が排出されるのが排卵ですが、この時にできた“破れ口”が何らかの理由で止血しないと、大量出血につながるわけです。
超音波検査で大量の腹腔内出血が見いだされることから、子宮外妊娠と紛らわしい状態なのですが、1)妊娠反応が出ない、2)中間期のちょうど排卵の時期に発症しているなどによって、鑑別診断ができます。腹腔内出血の量にもよりますが、安静入院が必要で、貧血があればその治療も行われます。 |
不正出血はいろんな原因によって起こりますが、“ホルモン環境の乱れ”が一番多く認められる原因です。『成熟女性におけるホルモン動態』のところで“おさらい”したように、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)は一定のリズムを持って周期内変動を繰り返していますが、生活環境の変化などによりストレスがたまると、視床下部が影響を受けることにより、分泌が抑制されてしまいます。
エストロゲンにしろ、プロゲステロンにしろ、分泌が低下すると、これらのホルモンに依存性の高い子宮内膜は増殖・分化を維持することができず、脱落が始まり出血を来すわけです。妊娠を希望する場合であれば、このような出血は着床不全に繋がりかねないので治療の対象となりますが、未婚とか既婚であっても妊娠を望まない場合は、ホルモン測定の結果、大きな異常がなければ経過観察でよいと考えられます。ただし、高プロラクチン血症が原因の場合は、その誘因を探り、程度に応じて治療を行ったほうがよいでしょう。
出血が煩わしい場合は、低用量ピルやカウフマン療法により治療することもあります。
その他の原因としては、子宮腟部糜爛(ビランと読みます)・子宮頚管ポリープ・子宮筋腫(特に粘膜下筋腫)・子宮癌などもあります。したがって、不正出血の原因としては“ホルモン環境の乱れ”が一番多いとはいえ、産婦人科を受診して、これらの器質的病変がないことを確かめておくべきでしょう。ことに30歳以上の女性では、不正出血があればもちろんのこと、不正出血がなくても年1回程度の癌検診は受けるべきでしょう。
(なお、厚生労働省は平成16年より子宮癌検診の適応年齢を下げ、20歳以上は検診を受けるべきとしています。これは性行為感染症の1種であり、子宮頸癌の原因であるヒトパピローマウイルス感染症が若年者間に蔓延していることが危惧されるからです)
このような場合を、コンタクト・ブリーディング(接触出血)と呼びます。頻度的に一番多いのは、子宮腟部糜爛によるもので、挿入されたペニスにより糜爛面が機械的刺激を受けたために出血します。ただし、子宮頸癌による場合もありますから、産婦人科を受診して、良性の糜爛であることを確かめてもらって下さい。良性の子宮腟部糜爛とわかれば、特に処置の必要はなく、経過観察でよいでしょう。ただし、年1回程度の癌検診を受け続けることはお忘れなく。
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ハードセックスの後に腟壁裂傷により、出血を来すことがあります。時として出血は多量で、救急車のお世話になったり、縫合によりやっと止血に至る場合もあります。頻度的にはそれほど多くはありませんが、セックスはハードになりすぎないようにすべきでしょう。 |

月経量が少ないのは、いわゆる過少月経です。生理期間の短い(2日以内)のは過短月経です。月経周期が順調で、妊娠を望んでいない時期であれば、“わずらわしい生理が少なくてラッキー”と気楽に考えてもよいでしょう。生理不順があって、赤ちゃんがほしい場合は、無排卵周期の場合がありますから、産婦人科を受診して検査を受けましょう。
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胎盤徴候 |
予定月経の頃に少量の出血を認めただけで、止まってしまった場合は、妊娠の可能性も考慮する必要があります。
卵管の膨大部といわれる部分で受精した受精卵は約6日間をかけて子宮に運ばれ、子宮内膜にインベーダーのように侵入します。
これが着床ですが、この侵入の際に少量の出血を伴うことがあり、胎盤徴候と呼ばれています。月経開始日後4週間半頃(受精後17日頃)に起こるとされていますが、時として妊娠に気づかず、“少なかった生理”として見過ごされることもあります。おかしいなと思ったら、念のため薬局で妊娠検査薬を買い求めて調べてみてはいかかでしょうか。
なお、妊娠であれば、お乳が張って痛かったり(乳房緊満)、トイレが近くなったり(頻尿)、ムカムカしたり(嘔気)するかもしれません。これらのサインも参考にして下さい。 |
生理の量が多い、血の塊が出た。肉片のようなものが出た
まず、流産でないことを確かめる必要があります。薬局で買い求めた妊娠検査薬で陽性反応が出た場合は、産婦人科を受診して下さい。
妊娠反応が陰性で、生理の量が今回1度だけ多かったのであれば、まず心配はいらないでしょう。生理の量には脱落してくる子宮内膜の量、つまり内膜の肥厚状態や剥離面の止血機序が微妙に絡んでいますから、少し生理が遅れて内膜の肥厚が進んだ状態で生理をむかえたり、旅行などの行事に生理がかち合わないように、ピルで生理を遅らせたりした後では、一時的に量が増えることもあります。血の塊も今回1度だけであれば、同様に心配する必要はないでしょう。
肉片のようなものが出た場合は、流産でなければ膜様月経が考えられます。通常、月経血は血液とタンパク分解酵素によって細かくバラバラに分解された子宮内膜片の混合物で形成されていますが、何らかの原因によってタンパク分解酵素の作用が不十分であると、子宮内膜はバラバラにならず、一見レバーのような膜様物として排出されます。膜様物を見たご本人はビックリされるかもしれませんが、全く問題はありませんからご心配なく。
生理の量が常に毎回多く、頻繁にナプキンを換えなければならない場合や、血の塊がゴボゴボ出るような場合は、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜増殖症などの病気が潜んでいることがありますので、産婦人科を受診して下さい。月経過多に基づく慢性失血により、思わぬ貧血が見つかり、治療しなければならないこともあります。
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“女性をみたら妊娠を疑え” |
産婦人科の診療では、“女性をみたら妊娠を疑え”という名言があります。つまり、患者さんの訴える症状が、“妊娠と関係があるのかないのかをまず考えないと、思わぬ診断の落とし穴が潜んでいますよ”という先人の教えです。
妊娠については、患者さん本人も意外と無頓着で、“妊娠ですよ”と説明すると、『エッ』と驚かれる人も時々みえます。ですから、“出血”・“腹痛”などの訴えに対しても、まず“流産ではないか”とか“子宮外妊娠”ではないかとか思考回路を働かせるわけです。もっとも当然妊娠可能年齢の患者さんの場合だけですがネ--------------。 |

生理がダラダラ続いて止まらない。不正出血が止まらない
まず、生理と思っていたのが、流産でないことを確かめる必要があります。
お乳が張って痛かったり(乳房緊満)、トイレが近くなったり(頻尿)、ムカムカしたり(嘔気)する妊娠徴候の有無も参考になりますが、まずは、薬局で妊娠検査薬を買い求めて、検査してみましょう。妊娠反応が陽性であれば、産婦人科を受診して下さい。
妊娠反応が陰性であれば、“ホルモン環境の乱れ”によるものが、まず考えられます。
生活環境の変化に伴うストレスであったり、体調不良が誘因になることが多いので、環境の整備や体調管理がまず大切でしょう。出血がダラダラ続いてわずらわしい場合は、ホルモン剤の服用で簡単に止まりますから、産婦人科を受診して下さい。また、頻回に同様の症状が繰り返される場合は、低用量ピルを服用してみてもよいでしょう。
器質的病変によるものとしては、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮癌、出血傾向を来す血液疾患などがあります。また、たまたま生理の時期と重なって、子宮腟部糜爛や子宮頚管ポリープからの出血が加わることもあります。いずれにしろ、20歳以上の方では、出血がある場合はもちろんのこと、出血がなくてもできれば年1回程度の産婦人科受診を欠かさないようにして、異常のないことを確かめておくべきでしょう。
43歳未満で閉経する場合を早発閉経と呼びます。いわゆる卵巣性無月経であり、ホルモン測定を行うとFSHやLHが高値を示し、エストロゲンやプロゲステロンが低値を示します。今後の長い人生のQOL(Quality Of Life)を考えた場合、ホルモン補充療法が適応と考えられますので、産婦人科を受診して投薬を受けて下さい。30歳代の早発閉経の方では、妊娠を望まれることもありますが、排卵誘発剤に対して卵巣は不応性のことが多く、妊娠率はかなり低いと言わざるをえないでしょう。
55歳以降になって閉経する場合を遅発閉経と呼びます。
女性ホルモンの作用が持続しているので、骨粗鬆症などの可能性は低く、一見QOLは良いように思われますが、ホルモン依存性悪性腫瘍の発生には注意が必要です。特に、子宮体癌・乳癌・卵巣癌の危険因子として遅発閉経が挙げられているので、少なくとも年1回程度の定期検診は欠かさず受けましょう。

生理に随伴して起こる不快症状は、主として子宮内膜から産生されるプロスタグランディンという物質に起因していて、子宮収縮が過度に引き起こされると生理痛(下腹部痛)が生じ、腸管の蠕動運動が亢進させられると下痢や嘔気・嘔吐が発症します。また時には、大腿部への放散痛が出現したり、頭痛を訴えたり、ひどい場合には失神することもあります。
骨盤内に病変を認めない場合を機能性(原発性)月経痛、骨盤内に病変を認める場合を器質性(続発性)月経痛と呼びますが、普通は機能性月経痛の場合が多く、次のような対処がなされます。
| 1) |
まず、生理痛に関する理解を深めましょう。
| A) |
生理痛は程度の差こそあれ、誰でもが経験するポピュラーな痛みであること。 |
| B) |
生理痛がひどいからといって、女性としての機能には何ら影響のないこと。 |
| C) |
結婚して生活環境が変わったり、妊娠・分娩を経験したり、年齢が進めば自然に軽くなること。 |
つまり、深刻に考えることは全く必要ないということを理解して下さい。 |
| 2) |
運動療法が効果があるとされていますので、ふだんから軽いスポーツをしてはいかがでしょうか。骨盤内の血流が改善され、うっ血が予防されるとともに、気分的にもリフレッシュが期待できると思います。 |
| 3) |
薬局で買い求めた“痛み止め”で効果があるようであれば軽症であり、そのまま服薬を続けて様子を見てよいでしょう。月に数日間“痛み止め”を飲んだからといって、深刻な副作用が出ることはまずありませんから心配しないで下さい。 |
| 4) |
薬局の“痛み止め”が効かない場合は、産婦人科を受診して下さい。
産婦人科では次のような薬物療法が行われます。
A)プロスタグランディン合成阻害剤(非ステロイド性消炎鎮痛剤)
薬局の“痛み止め”もプロスタグランディン合成阻害剤に分類されますが、もう少し鎮痛効果の強い内服薬や座薬を処方致します。約80%の方に効果が認められ、生理痛の第1選択薬となっているのが、このプロスタグランディン合成阻害剤ですが、服薬のコツは、痛みがピークに達してから飲み始めるのではなく、子宮内膜でプロスタグランディンの合成が高まりだす頃、つまり痛みが出始める頃から服薬することで、かなりの症状の改善が期待できます。
また、悪心・嘔吐・食欲不振などの副作用を予防するためには、牛乳で服用するとよいでしょう。ただし、消化性潰瘍やアスピリン喘息の既往のある方では、症状の悪化や発作の誘発が考えられますので服用することはできませんからご注意下さい。
具体的には、ポンタール、ボルタレン、ブルフェン、ナイキサン、ロキソニン、ソランタールなどがありますが、鎮痛効果と副作用を見ながら、その人その人に応じて一番合う製剤が選択されます。
B)副交感神経遮断剤
ブスコパンの頓服で子宮や腸管の収縮による痛みを緩和することができます。
C)漢方薬
虚証(きゃしゃな感じ)の人では、当帰芍薬散や加味逍遥散が、実症(がっちり型)の人では、桂枝茯苓丸や桃核承気湯が選択され、生理の約1週間前から生理終了まで服薬することになります。また、痛みに対する頓服として、芍薬甘草湯が処方されることもあります。だだし、漢方薬の効果には個人差が大きいことを理解しておくべきでしょう。
D)ホルモン療法
黄体ホルモン剤
黄体期(高温期)におけるエストロゲンとプロゲステロンの不均衡が生理痛の一因と考えられているので、基礎体温が高温相になった直後から、デュファストン、プロベラ、ルトラールなどの黄体ホルモン剤を10〜14日間服用します。
低用量ピル
排卵を抑制すれば生理痛が改善するため、経口避妊薬を服用することに抵抗がなければ、確実性からも安全性からもおすすめできる治療法です。1相性薬剤・2相性薬剤・3相性薬剤、21日間服用型・28日間服用型といろんなタイプの製剤がありますが、効果に変わりはありません。
低用量ピルが効果があるのは、排卵が抑制されるとともに、子宮内膜の増殖も抑制され、プロスタグランディンの産生が低下し、痛みの原因である子宮収縮が緩和されるためと考えられます。
E)精神安定剤(マイナートランキライザー)
緊張が強く、痛みのため過換気症候群を来すような人では、セルシンのような精神安定剤の服用がよいでしょう。ただし、マイナートランキライザーには鎮痛作用が全くないので、単独ではなく鎮痛剤との併用となります。 |
骨盤内に病変を認める器質性月経痛の原因としては、
1)先天的形態異常:処女膜閉鎖・腟中隔・子宮奇形(双角子宮・子宮中隔など)
2)子宮頚管狭窄
3)子宮内腔癒着(アッシャーマン症候群)
4)リング(子宮内避妊器具)
5)子宮内膜ポリープ
6)子宮内膜症
7)子宮腺筋症
8)子宮筋腫
などがあります。
先天的形態異常・子宮頚管狭窄・子宮内腔癒着・子宮内膜ポリープなどの場合は、いずれも手術療法の是非が検討され、子宮内避妊器具の場合では、当然抜去が考えられます。
子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫などでは、挙児希望の有無(赤ちゃんがほしいかどうか)も考慮して、薬物療法・手術療法のいずれを選択するかが検討されます。

生理の3〜10日前から精神的・身体的症状を来たし、生理の開始とともに症状が軽くなったり、なくなるものを月経前緊張症(またはPMS:月経前症候群)と呼びます。
約40%の女性が何らかの月経前症候群の症状を経験していて、決してめずらしいものでないことをまず理解して下さい。
症状としては、
イライラ(56.4%)
お腹が痛い(26.3%)
乳房が張る(23.1%)
怒りやすくなる(21.2%)
腰が痛い(17.9%)
頭が痛かったり頭が重い(16.0%)
眠い(11.5%)
お腹が張る(9.6%)
乳房が痛い(9.6%)
足腰がだるい(9.6%)
などが比較的多く認められます【相良洋子:女性心身医学、1996】。
その他の症状としては、体重増加・むくみ・不安・抑鬱などもあります。発症原因については、いろんな説があり、詳細は依然として解明されていませんが、神経症的傾向の人に多いとされ、生活環境におけるストレスも大きな誘因となっています。
また、心身の疲労が症状を増悪するとされています。したがって、ストレスになりやすい生活環境の見直し、生理前に疲労をため込まないことが大切でしょう。精神症状が強い場合は産婦人科だけでなく、心療内科や精神科も気軽に受診してカウンセリングを受けるようにしましょう。
薬物療法としては、精神症状には精神安定剤・向自律神経剤、痛みには鎮痛剤、乳房症状には抗プロラクチン剤、体重増加・むくみには利尿剤が用いられます。