腹痛生理痛については『生理痛がひどい』、生理前に決まって痛みが起こる場合は『生理前になると体調がよくない』の項を参照して下さい。 生理と関係なく下腹部が痛い場合は、何らかの異常の可能性がありますから、産婦人科を受診して下さい。 女性において下腹部痛をきたす主な原因疾患を下表にまとめました。
妊娠反応が陽性で腹痛があれば、流産や子宮外妊娠の可能性もあり注意が必要です。赤ちゃんがほしい・ほしくないは別として産婦人科を速やかに受診して下さい。 流産の場合は、腹痛に出血を伴っていなければ、切迫流産の状態である可能性が高いとは思われますが、そのうち進行流産に移行する可能性もあります。 子宮外妊娠はもっとやっかいで、緊急手術が必要となることがあります。正常妊娠と異なり子宮の外に着床した異常妊娠で、着床部位により卵管妊娠・卵巣妊娠・腹腔妊娠・間質部妊娠などに分類されますが、いずれにしろ、大量出血(腹腔内出血)を来す可能性がありますから、できるだけ速やかに治療を開始することが望まれます。特に、将来赤ちゃんをご希望の場合には、できれば卵管等の機能を温存する保存治療が望ましいので、保存治療が可能な早い時期に受診することが大切でしょう。 ![]() ![]() 卵管の構造と子宮外妊娠(M.M.Garrey et al.) 断面図でわかるように卵管内腔は非常に複雑な構造をしています。受精卵は受精後約6日をかけてこの中を運ばれて子宮に達するわけですが、炎症・癒着があれば卵管内に留まって、卵管妊娠となってしまうのが理解できると思います。下左は子宮外妊娠の中で一番頻度が高い卵管膨大部妊娠、下右は間質部妊娠を示しています。 子宮傍組織炎・子宮内膜炎・付属器炎・付属器膿瘍・骨盤腹膜炎はいずれも病巣部位の違いであって、互いに関連のある病気と理解して下さい。 病原菌が腟から子宮頚管を経由して拡がることを上行性感染と呼びますが、病変が子宮頚部周辺に及べば子宮傍組織炎、内膜に及べば子宮内膜炎、付属器に及べば付属器炎、付属器に膿瘍を形成すれば付属器膿瘍、腹膜に達すれば骨盤腹膜炎となります。 子宮傍組織炎では子宮腟部周囲に圧痛、子宮内膜炎では子宮に圧痛、付属器炎では卵管・卵巣部位に圧痛、付属器膿瘍であれば付属器に圧痛のある腫瘤形成がそれぞれ認められます。骨盤腹膜炎になると、症状はさらに強く、高熱を来すことも稀ではありません。 嫌気性菌を含む一般細菌・マイコプラズマ・クラミジア・淋菌などが病原菌となりますが、若年者を中心に蔓延しているクラミジアによることが最も多く、最近の性習慣の変化が原因となっているものと考えられます。いずれにしろ、適切な治療を受けないと感染が拡がることにより、入院加療を要する状態となったり、卵管が詰まって不妊症の原因となったり、卵管が詰まらないまでも通過障害を来すことによって子宮外妊娠の原因となったりする可能性が考えられます。放置せずに産婦人科を受診して適切な治療を受けましょう。
![]() (M.M.Garrey et al.)
子宮内膜症は、子宮の内腔以外の場所に子宮内膜やそれによく似た組織が発育し、悪性ではないのに増殖や浸潤を起こし、周囲の組織と強い癒着を作る病気です。 子宮内膜は女性ホルモンの作用により周期的に変化し、月経という消退性出血をきたしていますが、内膜症の病巣でもエストロゲンの作用を受けて同じような周期的変化、つまり増殖と剥離出血が繰り返されていて、徐々に病状が進行するものと考えられています。最初は月経時だけであった症状も、炎症を繰り返し癒着ができることなどから、次第に月経期以外の時にも認められるようになってしまいます。このように子宮内膜症は慢性的骨盤痛の主な原因であり、慢性的骨盤痛を訴える人の30〜90%に子宮内膜症が関わっているとされています。 子宮内膜組織が子宮筋層内に侵入(迷入)した病気で、女性ホルモンの作用により子宮筋層内の病巣が周期的に変化し、増殖と剥離出血を繰り返すことにより痛みが出現します。 有茎性漿膜下筋腫といって子宮筋腫が茎をもった状態で、ブラブラと移動可能であると、茎捻転を起こして腹痛を来すことがあります。また、大きくなった子宮筋腫の内部が血行不良に陥り2次変性したり、2次感染を起こしても腹痛を来します。
排尿のたびに下腹部が痛むようなら膀胱炎が疑われます。膀胱炎の3つの主な症状(3主徴)は、“頻尿”・“排尿痛”・“血尿”です。つまり“トイレに行ったばかりなのに、またすぐ行きたくなる。まだ残っているような気がする(残尿感)”、“排尿の時、特に最後のあたりで痛む”、“ピンク〜ワイン色の尿が出る”のが膀胱炎の主症状です。女性は男性に比べて尿道が短いため、逆行性感染による膀胱炎が起こりやすく、1番多い起炎菌(原因となる菌)は大腸菌とされています。大腸菌は便の中で繁殖する菌ですから、局所の清潔に気をつけることが膀胱炎の予防策と考えてよいでしょう。膀胱炎は数日間の抗生物質の服用で治りますが、“水分をたくさん摂ってトイレに行く回数を増やし、自分の尿で膀胱を洗い流す”つもりでいると、より治りやすいでしょう。 1度膀胱炎になった人は、その後も再発を繰り返しやすい傾向にあります。過労などの身体の抵抗力低下があったり、トイレを我慢したりすることが再発の引き金となりやすいので気をつけましょう。また、“膀胱炎かな?”と思ったら早めの診断と治療を受けましょう。放置すると感染が尿管を経て腎臓付近にまで及び腎盂腎炎となってしまうことがあります。腎盂腎炎は、40℃近い高熱をきたし、背部の叩打痛(腎臓のあたりを叩くと痛む)を認めるのが特徴ですが、こうなると入院加療を要することとなります。できるだけ膀胱炎の段階で感染をくい止め、腎盂腎炎にならないように注意しましょう。
憩室は腸管の粘膜層と粘膜筋層が外部にポケット状に突出したもので、数個の憩室がみられる場合を憩室症と呼びます。憩室症があるからといって、何らかの症状があるのではなく、炎症が加わり憩室炎を起こして初めて軽度の消化障害から激しい腹痛まで、さまざまな程度の症状が出現することになります。憩室炎はS状結腸といって直腸につながる大腸の部分にできることが多いため、左下腹部痛をきたし、俗に“左側位虫垂炎”と呼ばれています。つまり、“症状は虫垂炎とよく似ているが、虫垂の位置(右下腹部)ではなく、反対の左側に出現する”というわけです。 疑わしい症状があれば内科を受診して検査を受けて下さい。 腎盂から尿道までの間に結石が認められるものを尿路結石といいます。結石の存在する場所により症状が異なり、腎盂にある時は無症状であったものが、尿管に流入すると激痛の原因となります。尿管の上部か下部かによっても痛みの部位が異なり、上部であれば背部痛、下部であれば下腹部痛となります。膀胱内に流入したとたん嘘のように痛みが消失しますが、それまでの間は婦人科疾患や消化器疾患の痛みとまぎらわしいことがあります。痛みの性格は疝痛といって尿管の蠕動運動に一致してさざ波のように間欠的に繰り返し起こります。通常、尿を顕微鏡で調べると血尿があることが尿路結石(尿管結石)の診断の糸口となります。尿管造影などにより確定診断がなされますから、泌尿器科を受診して下さい。 一度産婦人科を受診して下さい。 ![]() |