産婦人領域の腫瘍について
子宮にできる最もポピュラーな良性腫瘍です。エストロゲンという女性ホルモンに刺激されて大きくなるので、閉経になるまでは増大する可能性がありますが、閉経時期を過ぎると自然に縮小するのが特徴です。良性ですから、転移を起こして命を落とすようなこともありませんが、増大することにより支障を来すのが問題です。
発生部位により、漿膜下筋腫(有茎性・無茎性)・筋層内筋腫・粘膜下筋腫(有茎性・無茎性)・頚部筋腫・靱帯内筋腫などがあります。 めずらしくありません。40歳代の女性では、3人から4人に1人は子宮筋腫を持っています。 過多月経と月経困難症の2つが主な症状で、特に粘膜下筋腫では症状が強くなります。その他の症状は、腫瘍による腹部圧迫症状で、膀胱が圧迫されると頻尿や尿閉(尿が出づらくなる)が、直腸が圧迫されると便秘が、さらに大きくなると腫瘤感・膨満感・腹囲の増大なども出現します。また、有茎性子宮筋腫が茎捻転を起こしたり、筋腫内部が2次変性や感染を起こしたりすると腹痛や圧痛が出現するようになります。 双子の場合、1人が子宮筋腫になってもう1人が子宮筋腫になる頻度は、1卵性の方が2卵性よりも高く、子宮筋腫の患者さんの家系を調べてみると、そうでない家系よりも頻度が高いことがわかっています。したがって、子宮筋腫には遺伝的な背景があることが推察されています。 有茎性漿膜下筋腫や靱帯内筋腫では、位置的関係から充実性卵巣腫瘍とまぎらわしいことがあります。筋層内筋腫では子宮腺筋症との鑑別が必要ですが、子宮筋腫に子宮腺筋症が合併(30〜40%)している場合もあります。 子宮筋腫が悪性化することはほとんどありません。ただし、子宮筋腫の診断で手術が行われた人の中で、病理検査の結果、悪性の平滑筋肉腫が0.2〜0.7%発見されています。また、組織学的に、筋腫とも肉腫とも断定できない中間型腫瘍群を含めると約1%になると考えられています。ちなみに、肉腫は上皮以外の部分から発生するものを指し、上皮から発生する癌と区別されますが、悪性腫瘍であることには変わりありません。 子宮筋腫と悪性の平滑筋肉腫を臨床的に区別することは、MRIやCTを用いても困難な場合があります。したがって、子宮筋腫を指摘された人では、指示された間隔で定期検診を受け、悪性を疑わせるような急激な腫瘤の増大や陰影の異常が出現してきていないことを確かめてもらいましょう。 超音波断層検査により、腫瘍の位置と大きさ、内部構造の状態、周囲の正常筋層との境界の状態、内膜への突出の有無などを検討します。また、MRIにより平滑筋肉腫や子宮腺筋症との鑑別が試みられます。
2.閉経までのおよその期間がどれくらいなのか 3.子宮筋腫以外に合併症がないかどうか などの点を参考に患者さんの意向に沿って 治療法が選択されます。 子宮筋腫の治療法
薬剤としては、スプレキュア・ナサニールなどの鼻腔噴霧剤やスプレキュアMP・リュープリン・ゾラデックスなどの徐放型注射剤があります。
A) 腹式単純子宮全摘術
2)子宮筋腫核出術開腹手術により子宮を全摘出する方法で、巨大筋腫や癒着例にも対応できます。皮膚切開には縦切り(正中縦切開)と横切り(パンネンスチールPfannenstiel切開)があり、美容上、術後の創を目立たなくするためには横切り切開が行われます。
B) 腟式単純子宮全摘術
腟から子宮を全摘出する方法で、お腹に手術の創が残らないメリットがありますが、巨大筋腫や癒着例では困難となります。
C) 腹腔鏡下腟式単純子宮全摘術
腹腔鏡を腟式子宮全摘術の補助手段として用いる方法で、腹式手術と腟式手術のメリットをあわせ持っていますが、一般的に手術時間が長くなるデメリットがあります。 筋腫のかたまりを筋腫核と呼びます。
筋腫核出術は、将来妊娠・分娩をご希望になる方に行われる手術で、 1. 筋腫自体が不妊症の原因と考えられる場合
A)腹式子宮筋腫核出術2. 妊娠した時に筋腫の存在が支障をきたす可能性のある場合 3. 症状(過多月経・月経困難症)が強い場合 に行われます。筋腫核のみを摘出し、子宮を温存します。 開腹して子宮筋腫核を摘出する方法で、子宮を直接触診できるので取り残しが比較的少ないメリットがあります。
B)腹腔鏡下子宮筋腫核出術腹腔鏡を使って子宮筋腫核を摘出する方法で、手術侵襲や術後の癒着が少ないメリットがありますが、手技的に熟練を要します。
C)子宮鏡下子宮筋腫摘出術子宮鏡(リゼクトスコープ)を用いて粘膜下筋腫を摘出する方法ですが、まだ限られた施設のみで行われています。 子宮筋腫の経過観察中に増血剤で貧血の治療を受けている場合、増血剤を中止すると、すぐにまた貧血に戻る人では、手術を考慮しなければなりません。 閉経間近の人であれば可能です。GnRHアゴニスト(上表)を4ヶ月間使用してエストロゲン分泌を抑えることにより、子宮筋腫の縮小を図ります。その後、閉経に逃げ込めれば再度子宮筋腫の増大なく経過することができるというわけです。この治療法を“逃げ込み療法”と呼びますが、“逃げ込み”ができなかった場合、つまり、まだ卵巣機能が回復する年代では、治療の終了後にエストロゲンが再上昇するため、子宮筋腫は冬眠から目覚めるように再度大きくなってしまいます。 また、この薬剤療法では、当然ながら更年期を早めるわけですから、不快な 更年期症状 が発現したり、 骨粗鬆症 に注意したりする必要があることも了解しておくべきでしょう。 子宮筋腫の治療においては、薬物療法はあくまでも姑息的手段であり、手術療法でなければ根治を望めないことを理解して下さい。 美容上のことをご心配なら、腟式手術がおすすめです。おなかに一切創を残すことなく子宮を全摘することができます。だだし、巨大化した子宮筋腫や腹腔内癒着が考えられる場合では、安全性の面から腹式(開腹)手術が選択されることが多くなります。腟式手術がお望みなら、大きくなりすぎて時機を逸することのないよう、早めの治療を受けましょう。 妊娠・分娩をご希望の方では、子宮筋腫核出術が行われますが、粘膜下筋腫に行われる子宮鏡下子宮筋腫摘出術の例外を除けば、残念ながら腟式に核出術を行うことはできません。赤ちゃんを産むためと思ってあきらめて下さい。 今後、腹腔鏡下で子宮筋腫核出術を行う施設が増えてくるものと期待できますが、腹腔鏡下手術であっても、腹部に数カ所に小さな切開創が残ることは覚悟しておかなければなりません。 腹式(開腹)手術であっても、切開を縦ではなく横(パンネンスチール切開)にすることにより、かなりの美容効果を望むことができますから、あまり深刻に考えないで下さい。 医師にも聞きずらい質問に、『子宮を取ったら女じゃなくなるのでは?』とか、『性生活で夫が満足してくれないのでは?』とか、『私自身も性生活に満足できないのでは?』とか、『更年期が早く来て老け込むのでは?』とか、『子宮を取った後、おなかに空洞ができるのでは?』などがあります。 ここでこれらの質問にお答えいたします。すべて取り越し苦労です。 子宮を取ったら女じゃなくなるのでは?性生活で夫が満足してくれないのでは?私自身も性生活に満足できないのでは?更年期が早く来て老け込むのでは?ただし、だれでも時期が来れば、多少の個人差はあるものの更年期の症状を経験するでしょう。手術のためではなく、加齢のためです。念のため。 子宮を取った後、お腹に空洞ができるのでは?妊娠中には、1〜4%の頻度で子宮筋腫が発見されています。妊娠中に子宮筋腫が発見された場合は、切迫流産、切迫早産、前期破水、胎位異常などに注意することが必要です。また、子宮筋腫が胎盤付着部の直下にあると常位胎盤早期剥離といって胎盤が赤ちゃんの出産前に剥がれたり、弛緩出血といって分娩後に多量出血を起こしたりする危険性も示唆されています。頚部子宮筋腫のように産道を塞ぐ部位にできた子宮筋腫では、帝王切開術を余儀なくされることもあります。 子宮筋腫が見つかった場合は、過多月経から慢性的な貧血に陥らないよう、日頃から鉄分の多い食物を摂取するように心がけましょう。妊娠・分娩を希望するのであれば、“子宮筋腫が増大する前がよいのか、子宮筋腫核出術を受けた後がよいのか”などについて産婦人科医と相談の上、家族計画を立てましょう。 子宮筋腫は良性のため緊急性が低く、手術を受けるとしても、時期についてはある程度の融通がききます。自分にとっていつの手術が都合がよいのかを家族と相談し、その時期までは主治医の適切な管理を受けましょう。 GnRHアゴニストの治療を選択された方では、 更年期障害 のような症状が現れますが、深刻に受け止めずに乗り切りましょう。また、 骨粗鬆症 の予防のため、カルシウムをたくさん摂り、適度な運動習慣をつけましょう。 通常、腫瘍というと中・高年の病気と思われがちですが、卵巣腫瘍は特別で、新生児からお年寄りまで、いずれの年齢層にも認められ、しかも若いから良性とは限らず悪性のことがあるからやっかいです。 また、種類の多さも卵巣腫瘍の特徴の1つです。これは卵巣を構成する細胞が、表層の表層上皮・皮質内の卵細胞(胚細胞)・卵細胞周囲(性索間質)に顆粒膜細胞と莢膜細胞・これらの間を埋める間質と多彩で、このいずれの細胞からも腫瘍が発生しうるためです。さらに、これらの原発性といわれる卵巣自体から発生する卵巣腫瘍の他に、転移性卵巣腫瘍といって、胃癌などの転移による二次的なものが加わります。 下に参考として卵巣腫瘍の種類に関する一覧表を示しましたが、ウンザリするほど多いことがおわかりいただけると思います。 (日本産科婦人科学会・日本病理学会)
卵巣は“沈黙の臓器”とも呼ばれます。つまり、茎捻転のようなアクシデントを起こさない限り、病変があってもほとんど症状を現さないのが特徴です。したがって、悪性の場合、症状が出現した時には既に病期がかなり進行していることも多く、婦人科癌の中で死亡率が最も高くなっている原因と考えられます。ふだんから定期的に産婦人科を受診して、早期発見・早期治療に努めることが大切です。 子宮筋腫のうち有茎性漿膜下筋腫や靱帯内子宮筋腫では、位置的関係から充実性卵巣腫瘍とまぎらわしいことがあります。また、卵管の炎症で卵管に膿や水が貯まる卵管留膿腫や卵管留水腫、胎生期の遺残である卵巣上体に水が貯まる傍卵巣嚢腫、子宮内膜症によるチョコレート嚢胞などは卵巣嚢腫とまぎらわしいことがあります。 良性はともかく、悪性の卵巣腫瘍についてはご心配な方もみえると思いますので、卵巣癌の リスクファクター(危険因子)についてまとめておきます。 家族歴食事月経歴妊娠分娩歴不妊症経口避妊薬ホルモン補充療法ただし、現状ではホルモン補充療法はエストロゲンとプロゲステロンの併用で行われていることがほとんどなので、心配はいらないでしょう。 他臓器癌の既往
まず、両側卵巣に腫瘍陰影がないかどうか腹水がたまっていないかどうかを検討し、あればその大きさを測定します。もちろん大きければ大きいほど問題となるわけですが、正常大卵巣癌も存在するため、大きさだけでなく次のような陰影パターンも参考に検査がすすめられます。
(日本超音波医学会・用語診断基準委員会、2000年)
表は日本超音波医学会が提案しているものですが、腫瘤の壁および腫瘤内部の陰影パターンを重要な診断基準とし、T〜Yの6型に分類しています。 悪性腫瘍ではW〜Y型が大部分を占めていて、W型約50%、X型約70%、Y型約30%であり、T〜V型を示すものは3%以下にどどまるとされています。 超音波断層検査のスクリーニングで精査が必要と判定された場合は、さらにCT・MRI検査がなされることになります。
下表に腫瘍の種類別の腫瘍マーカーの選択基準を示していますが、妊娠をはじめとする疑陽性を呈する状態があるかどうかを考慮して判断する必要があります。 腫瘍マーカーの選択基準
手術療法のみで根治が期待できるのは、Ta期(癌が片側卵巣のみに限局)の分化型のものだけであり、それ以外は化学療法を併用した集学的治療が必要とされ、静脈内化学療法や腹腔内化学療法が行われます。 将来的には、腫瘍特異抗原を用いた免疫化学療法も一般化してくるものと考えられます。 治療の効果判定や再発の早期発見には、治療前に陽性であった腫瘍マーカーの継続測定が役立つので、月1回あるいは化学療法毎に測定します。測定値が順調に低下していけば治療効果が良好と判定され、再上昇してくれば再発が懸念されます。 もちろん悪性腫瘍が考えられる場合は大きさにかかわらず手術するのが基本です。 良性と考えられる場合は、大きさから言えば通常直径5〜6cmが1つの目安となります。それ以下の大きさで画像診断が単純な嚢胞性パターンを示し、明らかに良性と考えられる場合にのみ、茎捻転などのアクシデントがない限り、3ヶ月毎の定期検診で経過を観察してもよいと思われます。 充実性の場合や嚢胞内に乳頭状増殖を認める場合は、正常大卵巣癌も存在することから、大きさとは関係なく手術を考慮した方がよいでしょう。 子宮内膜症で卵巣にできるチョコレート嚢胞(腫瘍ではありません)の場合は、嚢胞が小さければ薬物療法にある程度の期待を寄せることができますが、卵巣腫瘍の場合はあくまでも手術療法が基本で、お薬で何とかできるものではありません。 画像診断が単純な嚢胞性パターンを示し、明らかに良性と考えられる場合は、腹腔鏡下手術を行うことができます。腹腔鏡下手術であれば、お腹に数カ所小さな創ができるだけであり、時がたてば目立たなくなります。また、開腹術であってもお腹を横に切開する(パンネンスチール切開)ことで美容上の改善をはかることができます。ただし、悪性腫瘍でリンパ節廓清などを行う場合は、縦切開にならざるを得ないことを理解して下さい。 まず、良性腫瘍の場合、選択される手術術式には正常卵巣組織から卵巣腫瘍部分だけを皮を剥くように分離して切除する方法【卵巣嚢腫切除(核出)術】か、腫瘍のある側の卵巣を卵管とともにすべて切除する方法(片側卵管卵巣切除術)があります。卵巣嚢腫切除術であれば、両方の卵巣が残るわけですから卵巣機能に何ら問題は起こりません。排卵も両側卵巣から起こり妊娠も可能です。片側卵管卵巣切除術であれば、一方の卵巣は残るわけですから、この場合も卵巣機能に問題はありません。つまり卵巣が片側だけになったからといって、女性ホルモンの分泌量が半分に減ることはなく、残った卵巣が代償的に働いて一定のホルモンレベルが維持されるわけです。排卵も残った方の卵巣から毎月起こりますから、もちろん妊娠も可能です。
悪性卵巣腫瘍の場合では、一般的にTa期(腫瘍が片側卵巣に限局)で高分化型(G1、悪性度が低い)では、将来の妊娠の可能性を残すために、反対側の卵巣や子宮を残す術式がとられています。それ以外の早期癌で組織型から化学療法が効果的と判断される場合では、ご本人の強い希望があればインフォームドコンセントの下に妊孕性を温存する術式(卵巣・子宮を残す術式)が考慮されることもあります。ただし、進行例や悪性度の高い未分化型の場合では、原則としてして両方の卵巣を子宮とともに摘出することになりますし、さらに必要に応じてリンパ節廓清も行われます。 ただし、たとえ両方の卵巣を切除したとしても、子宮を切除したとしても、決して女性でなくなるわけではありません。腫瘍がホルモン依存性でない限り、ホルモン補充療法といって女性ホルモンを外から補うことによって女性としての機能は十分維持できますからご安心下さい。 妊婦さんに卵巣腫瘍が合併する頻度は約1%とされています。多くは黄体嚢胞で治療の必要がありませんが、約5,000〜20,000分娩に1例の頻度で悪性卵巣腫瘍があるとされているので注意が必要です。妊娠中には急性腹症となる茎捻転も9〜19%の頻度で起こるとされ、破裂も3%の頻度で認められています。また、流・早産や分娩障害の原因となる可能性も考慮する必要があります。 茎捻転の場合は、妊娠の時期を問わず手術療法の対象となります。超音波断層検査・腫瘍マーカー(妊娠の影響を受けるものとそうでないものがあります)・MRIなどの検査から腫瘍が良性と判断された場合は、5〜6cmの大きさであれば経過観察し、それ以上であれば原則として手術療法が選択されます。手術時期は妊娠初期であれば、安定期に入りだす14〜15週以降が望ましく、妊娠末期であれば増大した子宮で手術操作が難しいため、分娩後まで待期されます。 悪性卵巣腫瘍の疑いがある時は、胎児が生存可能かどうかの判断要素が加わるものの、原則としては非妊娠時と同じような手術療法が行われ、必要に応じて化学療法を併用した集学的治療が考慮されます。 卵巣癌の60%以上がV期W期であることは、卵巣がいかに無症状の“沈黙の臓器”であるかを物語っています。したがって、子宮癌検診のたびに超音波断層検査で卵巣のチェックを受けることが大切でしょう。検診車を利用した集団検診では、内診と細胞診のみが施行される場合が多いので、できれば年1回産婦人科を受診して、超音波断層検査を含む癌検診を受けることをおすすめします。 不正性器出血や接触出血などは、ホルモン環境の乱れや子宮腟部ビランでも起こりますが、子宮癌の可能性も念頭に置いて産婦人科を受診すべきでしょう。また、初期の子宮頚癌の多くが無症状であることから、日頃から定期検診を受け、症状が出る前に早期発見できるよう努めるべきでしょう。 感染症HPVにはいろんな種類があり、特に16型・18型・31型・52型・56型などの感染でリスクが高く、扁平上皮癌(子宮頚癌)では16型が40〜50%検出されています。また、腺癌でも約40%に18型が検出されています。一方、尖圭コンジロームの原因である6型・11型などは、子宮頚癌での検出率が低いとされています。 単純ヘルペス感染症については、リスクファクターであるとする報告とそうでないとする報告があり、結論には至っていません。いずれにしろ、HPV感染症ほどの影響はないものと考えられます。 クラミジア感染症については、子宮頚癌患者さんにクラミジア抗体の陽性率がHPVとの混合感染を補正しても高いことから、リスクファクターと考えられています。 同様にサイトメガロウイルス感染症や淋病もリスクファクターと考えられています。 社会歴喫煙歴食事妊娠分娩歴月経歴経口避妊薬一方、服用中止後は、時間が経過すればするほどリスクは低下し、8年以上経過すれば1.1倍となります。経口避妊薬を服用している人では、HPV陽性率が高いため、経口避妊薬自体がリスクを高めているのではなく、HPV感染によって発症している可能性があります。
コルポスコピー観察の最後に、発見された疑わしい部位を対象に、狙い組織診が行われます。 組織診直腸診CT・MRI
円錐切除
子宮全摘術化学療法には、予後の改善を期待して手術前に行う術前化学療法や放射線療法と同時に行う同時化学放射線療法の他に、再発例を対象に寛解導入を目的に行う場合があります。 Tb期以上の浸潤癌では、速やかに治療を開始する必要があるため、妊娠初期では人工妊娠中絶後あるいは妊娠子宮のまま広汎子宮全摘術が行われます。妊娠22週以降で挙児を希望する場合は、通常30週以降で帝王切開後に広汎子宮全摘術を行います。 子宮頚癌検診の受診間隔を検討してみると、3年以内に検診を受けたことのあるグループでは、上皮内癌が94%を占めているのに対し、検診歴のないグループでは、上皮内癌の占める割合は30%に過ぎないとのことです。また、検診間隔を5年以上あけた人が浸潤癌で発見されるリスクを1.0とした場合、毎年受診している人はそのリスクを1/10に減らすことができ、3年の間隔では5年間隔と同じリスクになるとのことです(日母研修ノート)。したがって、年1回の癌検診を欠かさず受けていれば、発見されたとしても子宮頚癌は初期の段階(上皮内癌)がほとんどで、完治が期待できるわけです。まずは、欠かさず定期的に癌検診を受けることが何よりも大切でしょう。 厚生労働省は、今まで30歳以上であった子宮癌検診の対象年齢を したがって、『私は若いから子宮癌なんて関係ないわ!』と考えるのではなく、成人式を済ませたら進んで子宮癌検診を受け、異常がないことを確かめるとともに、今後とも定期 検診を受け続ける“習慣づけ”を開始することが大切でしょう。 なお、検診回数については、厚生労働省は2年に1回としていますが、偶発的に起こりうる疑陰性(見落とし)が数パーセントあることを考慮すると、できれば年1回の検診が望ましいでしょう。もちろん、細胞診の結果に問題があった場合は、検診間隔は2〜3ヶ月 に短縮されることになります。
通常無症状のことが多く、たまたま検診で見つかることが多い疾患です。時には不正出血、特に接触出血といって性行為の刺激により出血をきたすこともあります。
腟鏡診といって直接子宮腟部を観察することによって簡単に診断できます。粘膜と同じ色調かやや充血した軟らかい隆起物として認められ、触ると容易に出血します。子宮内膜から出てくる子宮内膜ポリープや子宮内膜の直下にできた粘膜下筋腫の筋腫分娩(粘膜下筋腫が子宮腔から腟内に出てきているものを筋腫分娩と呼びます)と鑑別診断が必要な場合がありますが、茎がどこから出てきているのか、腫瘤の硬さはどうなのかをチェックすることによって診断できます。 ポリープ茎の根本をねじり切ったり、生検鉗子で切断したりして簡単に切除できます。切除に痛みは伴わず、もちろん麻酔も必要ありません。数秒で終了します。 念のために、悪性でないことを確かめる目的で、切り取ったポリープは病理検査に提出することになります。 ポリープ切除後の1〜2日は少量の性器出血を認めますが心配はいりません。当日の入浴はやめて、性行為も2〜3日は控えてください。 ポリープは炎症性刺激により発生するため、切除してもまた新たにできてくることがしばしば認められます。したがって、年に1度は子宮癌検診をかねて産婦人科を受診し、新たなポリープができていないかどうかを確かめてもらいましょう。 子宮頚癌が年々若年化傾向をたどっているのに比べ、子宮体癌の発症年齢は徐々に高まっている傾向があります。 子宮体癌はタイプTとタイプUの2つのグループに分けることができ、タイプTは比較的若い年齢層に起こり、エストロゲンに対して依存性があり、子宮内膜増殖症が重症化して、分化度の高い比較的予後の良好な類内膜腺癌として発症します。タイプUは比較的高齢者に多く、エストロゲンに対しての依存性はなく、子宮内膜増殖症を経ずに発癌するのが特徴で、予後は不良とされています。 不正性器出血が子宮体癌の主な臨床症状で、90〜95%に認められます。子宮体癌の 3/4は閉経後の女性に認められているので、閉経後に不正性器出血をきたした場合は、必ず産婦人科を受診して下さい。不正性器出血をきたした人の中で、子宮体癌が発見される頻度を年代別に見てみると、40歳代:3%、50歳代:10%、70歳代:20%となっています。 つまり、70歳代の人が性器出血をきたせば、5人に1人と高率に子宮体癌であると言えます。また、若年婦人にも子宮体癌は発見され、子宮体癌の患者さんの約5.8%は40歳以下とされています。したがって、不正出血や月経異常を認める場合は、若くても必要に応じて内膜細胞診などの検査を受けるべきでしょう。
肥満糖尿病食事妊娠分娩歴不妊症経口避妊薬閉経時期ホルモン補充療法ホルモン産生腫瘍乳癌の術後にエストロゲン拮抗剤としてタモキシフェンという薬剤を用いることがあるのですが、この薬剤は子宮内膜でエストロゲン作用を発揮することがあるため、2年以上の投与でリスクが6〜7倍になるとされています。ただし、乳癌の再発抑制のメリットの方が大きいと考えてよいでしょう。 内膜細胞診
超音波断層検査
子宮内視鏡(ヒステロスコピー)子宮内膜全面掻爬直腸診CT・MRI
子宮体癌の治療方針は、 (1)術前の臨床進行期分類 (2)組織型 (3)組織分化度 (4)全身状態から考えられるリスク などを総合的に評価して決定されます。 治療の基本は手術療法ですが、放射線療法、化学療法、ホルモン療法などが必要に応じて追加されます。手術は進行期にもよりますが、通常両側卵巣卵管を含めて子宮を全摘し、骨盤内のリンパ節廓清も行われます。子宮頚部への浸潤がある場合は、広汎子宮全摘術といって子宮付着靱帯を広範囲に切除する方法が選択されます。 放射線療法には、手術不能例に対する照射と手術療法の追加治療としての術後照射があります。 術後照射は、癌の浸潤が子宮筋層の1/2を超える時や子宮外に及んでいる時や骨盤内リンパ節や付属器への転移を認めた時などに行われます。 化学療法は、手術不能例や再発例を対象に寛解導入を目的とする場合や、手術で子宮筋層浸潤1/2以上であったり、リンパ節転移が認められたり、組織分化度が低く悪性度が高いことが予測される場合などに補助的に行われます。 ホルモン療法は、寛解維持の目的で行われ、プロゲステロンの誘導体(MPA:メドロキシプロゲステロン)を内服します。子宮体癌はホルモン依存性腫瘍のため、MPAの効果がある程度期待できます。 若い世代の人にも子宮体癌はあるわけですから、当然妊娠・分娩を希望される場合もあるでしょう。可能かどうかの判断は組織型と病期によっていて、組織診で高分化型腺癌であり、進行期がTa期(癌が子宮内膜に限局)の場合に限って、本人が切実に望む時に子宮の温存が試みられています。通常、MPAを内服後、子宮鏡検査および組織診(子宮内膜全面掻爬)で病変の消失が確認されれば妊娠が許可されます。治療にもかかわらず病変が残っている場合は、残念ながら子宮を切除しなければなりません。 悪性腫瘍のすべてに共通して言えることですが、定期検診を欠かさず受けて早期発見に努めることが大切です。閉経後の人で不正性器出血があれば、直ちに産婦人科を受診すべきでしょう。若年者であっても不正性器出血をホルモンバランスの乱れと自己判断するのではなく、産婦人科でチェックを受けるように心がけましょう。 女性における癌の罹患率は、30年前に上位を占めていた胃癌と子宮癌が下降しつつあるのに対し、乳癌・結腸(直腸)癌・肺癌・肝臓癌・膵臓癌などが増加してきています。なかでも乳癌は、その罹患率が女性における癌の第1位となって10年が経過し、その死亡者数も年間1万人に迫ろうとしています。欧米での報告によると、現在の生活様式を続けていけば10〜9人に1人は乳癌になると推定されていますから、日本も生活様式の欧米化に伴い、さらに増加することが懸念されます。
赤くなっているオレンジの皮のように見えるオレンジの皮のように見えます。 皮膚に“くぼみ”や“ひきつれ”がある何もせずに認められる場合と、腕を上げたり、乳房に手をそえて動かすと“えくぼ”状に見える場合があります。 乳首が引っ込んだ乳輪付近の湿疹が治りにくい乳首を押さえると汁が出る“しこり”が触れる
![]() (日母研修ノートより)
家族歴食事アルコール喫煙初経時期妊娠分娩歴授乳歴経口避妊薬乳腺密度閉経時期ホルモン補充療法治療期間別では、5年未満では2.13倍、5〜10年では4.61倍と上昇しますが、10年以上になると逆に1.81倍と下降傾向を示しています。この理由としては、長期治療を行うような人では、癌になりにくい体質の人が選別された可能性が考えられています。また、子宮体癌や卵巣癌と異なり、エストロゲン単独使用よりもエストロゲンとプロゲステロンの併用の方がリスクが高まるとされています。いずれにしろ、ホルモン補充療法を受けている方では、少なくとも年1回以上のマンモグラフィーを含む乳癌検診を受けるべきでしょう。 他の乳房疾患視診・触診マンモグラフィー超音波断層検査MRI・CT乳頭分泌液検査細胞診乳癌における乳頭分泌細胞診の陽性率は30〜60%、疑陽性率は3〜50%と報告され、細胞診の判定は必ずしも容易でないことを示しています。これは、乳管内へ発育・進展するタイプの乳癌(非浸潤性乳管癌や乳頭腺管癌など)では、乳頭分泌の頻度が高く、細胞診の陽性率も高いのに対し、外方や浸潤性発育を主体とする乳癌のタイプ(充実腺管癌、硬癌、特殊型乳癌など)では、乳頭分泌のみられる頻度は少なく、あっても癌細胞が検出される率が極めて低いことなどによっていると思われます。 CEA測定約68%の乳癌例で陽性(400ng/ml以上)がみられます。 乳管造影吸引細胞診・生検乳腺症、繊維腺腫、乳頭腫、脂肪腫、脂肪壊死、乳腺炎などがまぎらわしいことがあります。
乳癌は腺癌の中では比較的放射線の効果が期待できる腫瘍です。 放射線療法には、 (1)乳房温存治療での根治を目的とする場合 (2)進行癌で手術不能例に行う場合 (3)局所再発癌の治療目的の場合 (4)乳房切除後の再発予防目的の場合 (5)骨転移・脳転移など遠隔転移巣に対する治療の場合 などがあります。 化学療法の目的には、次の3つが考えられます。 (1)術前化学療法:(2)術後化学療法:(3)遠隔転移症例:その他のホルモン療法としては、アロマターゼ阻害剤であるフェドロゾール(アフェマ)やアナストロゾール(アリミデックス)、プロゲステロン製剤であるメドロキシプロゲステロン・アセテート(ヒスロンH、プロベラ)などがあります。閉経前の乳癌患者さんに対しては、GnRHアゴニストであるゴセレリン(ゾラデックス)やリュープライド(リュープリン)で偽閉経状態にした後、さらにタモキシフェンを併用して直接抗腫瘍効果を期待する方法が行われています。 乳癌の手術療法は開腹手術と異なり妊娠に与える影響は少ないので、必要があると判断されれば、分娩を待たずに行われることになります。 すべての悪性腫瘍に共通することですが、早期発見・早期治療が最も大切です。 幸い乳房はご自分で観察できる臓器ですから、年に数回はお風呂上がりに鏡の前でよく観察し、“しこり”がないかなども調べて下さい。ただし、今は、“しこり”のない段階で乳癌を早期に発見して、乳房温存療法にもっていくことが主流ですから、自分で観察して異常がなくても、定期的に検診を受けることが極めて大切でしょう。 厚生労働省は、2004年3月より視診・触診のみの乳癌検診を廃止し、40歳以上はマンモグラフィーとの併用を決め、2004年度から全市町村で受診できるように求めています。乳癌の死亡率が減少に転じている米国では2年以内のマンモグラフィーの受診率が70%を超えているのに対し、日本では2.1%(2002年、50歳以上を対象として算出)と極めて低いことに、厚生労働省がやっと重い腰を上げた状況です。住民健診でのマンモグラフィーの実施状況は、自治体間でかなりの格差があるようですから、マンモグラフィーを受けたい人は、『マンモグラフィー検診精度管理中央委員会』のホームページ(http://www.mammography.jp)を参考にしてください。なお、病院でのマンモグラフィーの窓口は産婦人科ではなく、外科あるいは放射線科がほとんどですから、ご注意ください。 |
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